去年の8-12月に当研究室に滞在していた研究員セミョ太郎ことセミョンとの論文が受理されました。
Bryanin, S.V., Makoto, K. (in press) Fire-derived charcoal affect fine root vitality in post-fire Gmelin larch forest: Field evidence. Plant and Soil.
山火事で炭ができて土の中に混ざると、土の化学性が植物の好む条件に変わり、植物の根の成長が良くなることが知られています。しかし、過去の研究のほとんどは、実験室内で植木鉢に木を植えて炭を(時にはありえないほどの量を)与えて検証したもので「実際の山火事跡地で炭が根に及ぼす影響」についてはわかっていませんでした。
↑アムール州にある研究サイトの1つ。山火事直後の森は炭だらけ。
本研究では極東ロシアの山火事跡地に行き、土の中にある炭の量と植物の細根の活性(生きた根に対する死んだ根の割合として計算)について調べました。
炭の量が多い場所では、樹木の根の活性が高い一方、下層植生の根の活性は低くなっていました。炭が多いと下層植生の根の活性が低くなっていた事については、炭が多い場所で樹木の根が増えることで、樹木と競争関係にある下層植生が負の影響を受け、結果として根が減ってしまったのではないかと考えています。今後は操作実験を交えて、上の予想を検証したいと思っています。
セミョンとは、修士時代から10年来の付き合いで、ロシアでの研究のときにいつもサポートをしてくれています。
ただ、「日露研究あるある」として、現地の人に自分のサポートをしてもらうことはあれ、現地の人の研究を日本人がサポートして英文の論文としてまとめることは少ないのが現状です。背景には、ロシアでは英語で論文をまとめることが、これまで求められていなかったという事情もあります。ただ、ロシアも変わってきており「若い世代が研究費を獲得していくためには、世界に認められる英語の論文が必要だ」と、セミョンは言います。
今回、日本滞在中に彼が筆頭で論文をまとめることができた事は、今後、相互に利益がある形で日露間で研究を進めていく上で重要な一歩であると思っています。だから、嬉しさもひと塩!
セミョ太郎、お疲れさま。そしてみなさま続編をお楽しみに!
**以下、セミョ太郎との思い出**
あゆみちゃんと、北海道のササ地にて土壌呼吸を測る。
研究室のメンバー + うめ子姫との鍋Party。