大規模操作実験な春

さて、今年も雪解け操作実験の時期がやってきました。

温暖化に伴って進んでいる雪解けの早まりが森の植物や土壌に及ぼす影響を調べるため、森の雪を溶かしてその影響をみます。

 

森全体がどんな影響を受けるのか知りたい。

じゃあ、森を丸ごと操作しちゃおうよ、というのは北大研究林伝統のクレイジーな発想。で以下のようなジェットヒーターを用いた大面積操作実験を実施しています。

 

 

 

 

去年の雪解け操作で影響が出たものも出なかったものもありますが、その確からしさを検証するため、今シーズンも操作実験を行います。

 

まだ雪深い道北ですが、早くもフィールドシーズン開始です。

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生態学会@早稲田

今週は早稲田大学で開催されていた生態学会に参加していました。

研究室からは以下の3件を発表。

 

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融雪時期の違いが樹木の葉形質に及ぼす影響は個体サイズによって異なるか?

丸毛絵梨香•高木健太郎•関宰•小林真

 

高カルシウム条件に対するミミズの局所適応: その検証と窒素循環における重要性

河上智也•磯田玲華•橋床泰之•小林真

 

雪解け時期の早まりが下層植生と成木へ及ぼす影響の違い: 大面積操作実験による検証

小林真•片山歩美•丸毛絵梨香•Bryanin SV•高木健太郎

 

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どの発表にも多くの方に聞いていただき、今後の方向性などについて有益なコメントをいただきました。

河上くんは物質循環部門でポスター賞優秀賞を受賞しました! 良かったね。

 

会期中には来年度の研究の打ち合わせもいくつかすることができ、有益な時間でした。

 

関東はもうサクラの時期。まだ遠い道北へ、ちゃくちゃくと桜前線は近づいていきます。

さて、いよいよ来週から雪解け実験の開始です。

 

 

 

 

 

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論文: 山火事跡地で炭が多い場所は大きな木の根の活性は高いが下層植生の根の活性は低い

去年の8-12月に当研究室に滞在していた研究員セミョ太郎ことセミョンとの論文が受理されました。

 

Bryanin, S.V., Makoto, K. (in press) Fire-derived charcoal affect fine root vitality in post-fire Gmelin larch forest: Field evidence. Plant and Soil.

 

山火事で炭ができて土の中に混ざると、土の化学性が植物の好む条件に変わり、植物の根の成長が良くなることが知られています。しかし、過去の研究のほとんどは、実験室内で植木鉢に木を植えて炭を(時にはありえないほどの量を)与えて検証したもので「実際の山火事跡地で炭が根に及ぼす影響」についてはわかっていませんでした。

 

↑アムール州にある研究サイトの1つ。山火事直後の森は炭だらけ。

 

本研究では極東ロシアの山火事跡地に行き、土の中にある炭の量と植物の細根の活性(生きた根に対する死んだ根の割合として計算)について調べました。

 

炭の量が多い場所では、樹木の根の活性が高い一方、下層植生の根の活性は低くなっていました。炭が多いと下層植生の根の活性が低くなっていた事については、炭が多い場所で樹木の根が増えることで、樹木と競争関係にある下層植生が負の影響を受け、結果として根が減ってしまったのではないかと考えています。今後は操作実験を交えて、上の予想を検証したいと思っています。

 

セミョンとは、修士時代から10年来の付き合いで、ロシアでの研究のときにいつもサポートをしてくれています。

ただ、「日露研究あるある」として、現地の人に自分のサポートをしてもらうことはあれ、現地の人の研究を日本人がサポートして英文の論文としてまとめることは少ないのが現状です。背景には、ロシアでは英語で論文をまとめることが、これまで求められていなかったという事情もあります。ただ、ロシアも変わってきており「若い世代が研究費を獲得していくためには、世界に認められる英語の論文が必要だ」と、セミョンは言います。

 

今回、日本滞在中に彼が筆頭で論文をまとめることができた事は、今後、相互に利益がある形で日露間で研究を進めていく上で重要な一歩であると思っています。だから、嬉しさもひと塩!

 

セミョ太郎、お疲れさま。そしてみなさま続編をお楽しみに!

 

**以下、セミョ太郎との思い出**

 

あゆみちゃんと、北海道のササ地にて土壌呼吸を測る。

 

研究室のメンバー + うめ子姫との鍋Party。

 

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北海道北部を拠点に森林の研究をしている小林真があちこち歩き回って考えたこと・見たものを紹介するページです。 Keyword: 樹、土、ミミズ、北方林、ツンドラ、バオバブ、登山
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