CIRCのHPにて
Umea大学•Climate Impact Research Center (CIRC)のHPで、私たちの調査風景の写真が使われています。
ワスレナグサの描かれた帽子、アンカレッジの市場で格安で買ったけどお気に入りで長く使ってます。
Umea大学•Climate Impact Research Center (CIRC)のHPで、私たちの調査風景の写真が使われています。
ワスレナグサの描かれた帽子、アンカレッジの市場で格安で買ったけどお気に入りで長く使ってます。
随分前のことになってしまったけど、この夏のAbiskoでの調査について。
稚内空港から最寄りの空港があるKirunaまで24時間、準備の慌ただしさが終わったと思ったら複雑な感情が湧いていた。
見慣れた高山植物が咲き、何種類もの甘酸っぱいベリーが実るあのラップランドで研究を再開できるという嬉しさと、わざわざAbiskoに行くからには挑戦的なテーマをやらなければという気持ちが入り交じった気持ち。といっても最後にAbiskoを訪れてから4年、自分が思ったほど時間が経っていなくて驚く...。
Abiskoは、アラスカのToolik lakeと並んで北極圏研究の拠点であるにも関わらず、まだ日本の研究者はほとんど入っていない。日本人にはアラスカやスバールバル諸島の方が人気だ。「Abiskoは自分だけの場所であってほしい」という感情がある一方で、色んな専門の日本人と、基礎知見が積み重なった研究サイトでやるからこそ「巨人の肩の上に立ち」問う事ができる挑戦的な生態学的疑問に取り組んでみたいという気持ちを持つようになった。今回はそんな思いを胸に、北大、横国大の若いメンバーといつものScottと、ツンドラからの温室効果ガスの放出量などについて調査をしてきた。
Abiskoは変わってしまったところも沢山あったけど、驚くくらい僕の事を覚えていてくれて、道ばたでばったり会って、
「Makoto!!!!!!?You なんでここにいるんだYo!!!?」
ということしばしば。決して言い過ぎではなく、村中が歓迎してくれた。
住んでいた頃と名前が変わっていた村唯一のスーパーマーケットでフィールド調査へ向けた買い出しを済ませる。
相変わらずの品揃えの悪さだが、絶対に調査に持っていきたいと思っていたアンズタケの粉末スープは手に入れる事ができた。
そういえばこのスーパーも9月には閉店してしまうと聞いた。車をもっていない人達は、これからこのどうやって食糧を調達していくのだろう。
みんなのザックにキャンプとサンプリングの道具を選り分け、7時間のトレッキングにて調査地へ向かう。
Betula pubescensの森を抜け、樹林限界を過ぎると視界が広がる。
小雨が降ることもあったが、霞がかったツンドラの山々が、氷河に削られてできたU字谷に雄大な雰囲気を与えている。
ベリーを頬張ったり、スコットによる植物学講座を受けたり、小川の水を飲んだりしながら目的の氷河の後退域まで。
テントを設置していると、冷たい雨が降ってきたので、小さなテントにぎゅうぎゅう詰めになって夕飯を作る。
この先の天気も思いやられるが、肉団子入りのパスタで体を温めて寝袋に包まる。
夜は大分冷えて、よく眠れなかったが、日中、空は晴れ渡り、絶好の調査日和となる。
昔の記憶を呼び戻しながら遷移段階の異なる植生を回り、サンプリングをしていく。
ほんの5mmほどの"樹高"のヤナギ -Salix herbacea
ツンドラへ来る事自体がはじめてだという辰っちゃんは、Witに富んだ鋭い突っ込みと丁寧な作業で調査を支えてくれた。
氷河末端に立つ
中々ハードな調査だったが、無事に予定していたサンプリングやチャンバーの設置は終了。
夜は晴れたので外で飯をつくる。高い山がなく、遠くまで見渡せるラップランドの雄大な景色のなかで仲間と食べる飯は格別だ。
軽量化してウイスキーを持ってこなかったのが悔やまれる...。
Copyright: Shinichi Tatsumi
この日の夜も冷えてよく眠れなかったが、翌朝、テントを開けてびっくり。
Copyright: Scott Wilson
「メリー クリスマス」
スコットのテントから半分笑いが混じった声が聞こえてきた。
真夏に一面の雪景色である。
うーむ、Extreme。入山前は曇りの予報だったが、ここまで変わるとは...。ネタとしては面白い。日頃の行いを疑いたがる...。いや、むしろこの特殊な状況をうまく活かしてしまえないか、と思うが、この状態ではそもそもの目的である「夏」の状態のガスフラックスは測れなそう...。
帰国前に実験室で捌いてしまわなけべらならないサンプルが大量にあるので、ヘリコプターにて一旦アビスコへ帰り、また天気が回復した頃に訪れる事とする。
薪を割り、サウナに入って体力を回復し、みんなに手伝ってもらいひたすらサンプル処理をする。
素晴らしいチームワークで朝から晩までみんながフルに働いてくれたおかげで、膨大な数のサンプルをばっちり処理できた。
ハードワークのおかげで帰国前日に少し余裕ができた。夕方から研究所の同僚で友人でもあるトーマスの家にお呼ばれし、離れていた間のこと、これからのことを語り合う。
時間は経った
お互いに変わった事もたくさんある
でもこうして面白い研究を、良い仲間と、美しいフィールドのなかで変わらずやり続けて行けたら、それ以上何が必要かな、そんな風に思った。
See you again, Abisko gang.
一緒に調査をしてくれたみんな、変わらず友人で居続けてくれているみんなにありがとう。