冬のボストン

広島で生態学会に参加した後、冬の気候変動研究を盛んにされているBoston大のPamela Tamplerさんに会うためBostonへ行ってきました。
充実しきった1週間でした。



初日はBostonからほど近いHarvard Forestsの年度報告会へ。会議の合間にはPamが同林で行ってきた雪の操作実験サイトも見せてくれ、数々の論文がどんなデザインのサイトから生まれてきたのかを目の当たりにしました。百聞は一見にしかずが満載。





別の日には、ラボのみんなと車に乗ってLTER(長期生態学研究)の拠点としても有名なHubaard Brook Experimental Forests(HBEF)へも連れて行ってもらいました。

HBEFでは立ち上げたばかりの実験サイトも見せてもらえ、春に予定している自分のプロジェクト立ち上げに関わる実務的なノウハウも学びました。また、現地のテクニシャンに研究をサポートする施設(バカでかいサンプル保管庫、林内無線LANでのオンタイムデータ取得システムなど)や色々なネットワーク研究のコアサイトも見せていただき、研究林に活かす事ができないかなど考える良い機会になりました。




一軒丸々サンプルストック庫w



Pam自身もですが、ラボの学生やポスドク達もみんなActiveかつ楽しくDiscussionしてくれ、終始有意義な時間でした。活発な雰囲気に浸らせてもらいながら、若手PIがどんな風にラボを立ち上げるべきか、いい見本を得た気がします。

最終日にはBoston大でミニシンポジウムを開いていただき、こちらの研究林の概要や自分たちの研究紹介をさせていただく機会をいただました。




↑みんなやたらとベーグル好き。

シンポでは、彼女の研究室の学生さん達とそれぞれの研究についてDiscussionしたり、Facultyの他の研究者達が入れ替わり立ち替わり簡単な研究紹介をしてくれるなど幅広い交流ができました。僕自身が予定しているプロジェクトについても色々コメントをもらい、今後、実際に作業を進める上で気にしなければ行けない細かい/でもそれが結構、結果を左右するようなことを考える上で貴重な時間でした。

さっそく共同研究を実体化させるべく、あちらのグラントにRegistrationしましたが...果たして

少し時間が余った日はBostonの町を散策。有名なFreedom trailを辿りながら、新旧がうまく混在する街で食も飲(地ビール最高)も楽しみました。Bostonでは大学時代からの友人•メルチンさんが研究者として働いており、ある晩にはビールとワインを片手ずつにロブスターを味わいながら、分野は違えど同じ若手研究者としてこれからの研究のBig Pictureについて熱く語らいました(若干記憶曖昧...)。





最後に...

会った事もなかったどこの馬の骨とも分からない僕たちを快く受け入れてくれ、素晴らしく充実した一週間をアレンジしてくれたPam, そしてTempler Labのみなさんにありがとう!



今、自分の研究に関して、世界で一番、会いたい人に会いに行く。
そして聞きたかったことをとことん聞く。

そういえばこの感覚は、2008年に炭研究の第一人者のTomに会いにMontanaへ行った時と同じだなーと思いました。
Tomは人間的にも本当に素晴らしい人で、その後、一緒に論文もかき彼がWalesにいるときには山も登りました。
今も時々やり取りをする良き友人。

今回も、本当にいい人に出会った。
研究者としても、一人間としても、本当に尊敬できる人。
自分はどういうわけかこういう「引き」が強い。その自信はある。

まだまだこれはCollaboration、Friendshipのはじまり。
自分達にしかできない操作実験して、いい成果に繋げたいと思います。

近い将来、日本にも来てね。
Thanks a lot, Pam and Templer's lab.. Hope to see you in the near future in Japan, Boston or somewhere in the world.

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冬のアムール

出張から帰って家で大根のみそ汁を作るとほっとする。
千切りにされた大根の不揃いさが、落ち着ききれていない自分をあらわしているようだけれど。

震災から3年後。自分はシベリア鉄道の中にいた。

3年、早かったような、まだ3年か、というような。
自分の中で被災地への思いや行動が、少しずつ薄らいで行ってしまっていることを認識してしまった、そんな日だった。



↑シベリア鉄道。

昨日まで一週間ほど、極東ロシア•アムール州へ行ってきた。


↑川も大地も凍る。

共同研究を進めたいと思っている研究所、自然保護区などを訪問するため。最新のガスクロやTOC, 各種電顕など予想以上に充実した設備の研究所を見学し、自分たちの研究紹介や今後に関するDiscussionをした後は、アムール州北部の森へ連れて行ってもらった。

移動で使う幹線道路の脇は、相変わらずどこまで車を走らせても黒焦げになった森ばかりだったけど、保護区の天然林や山岳ツンドラも含めて、これまで夏のイメージしか無かった森に冬の景色を重ね書きしてきた。


↑最新のSEM.

教科書で習っていた小雪/極寒というよく言われるロシアの大陸的な冬環境が、実際に植物や土壌へどのように影響を及ぼしているのか、自分の目で見てさわって、ロシア製のスコップで穴を掘ったりして、分かっている事については学び、分かっていない面白そうなプロセスについては疑問を沢山見つけてきた。


↑凍った川の上を歩いて森に入って行く。河畔の森も氷付け。







↑宿泊地である山小屋。きづけばもう3度目だけど、冬は初めて。


↑エラキングラ山(エベンキ人の言葉で「雷鳥が沢山いる場所」の意味)の頂上付近。


↑穴を掘る。


↑カチンコチンです。


↑冬の山火事跡地。


↑凍った湖の上を、普段はなかなか行けない森を目指す。


↑ただただひろい。




↑博物館にあるようなスキーを履いたり。


↑ロシアのビール/料理はどれも素朴で美味しい。

充実した出張だったので書きたい事が沢山あるけど「北の森の冬を巡る旅については」来週からのアメリカ東海岸への出張も踏まえて書きたいと思う。

今日は月に一度の積雪調査。

雪も締まって、スキーやスノーシューが無くても雪面を歩けるようになっています。試し実験の時期も近づいてきたようで道具の準備を進めなければ行けないことを認識。

歌内の調査地からは利尻山がきれいに見えた。



まずは明日からの広島での生態学会。楽しみです。
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春近し、音威子府

外に出たときに、日が長くなったなーと思う瞬間が増えてきた。



ずぼらで玄関付近や以外は雪かきが追いついてない我が家でも窓から日が差し込むようになり、国道からも雪が消えた。




まだ、寒暖を繰り返していくんだろうけど、一番寒い時期が過ぎて、冬がもう折り返し地点を過ぎたのは間違いないだろう。

少し時間ができたので、カメラをもって少しゆっくりとまわった。





天塩川の川面には、ちいさくくだけた氷がながれて
ふかふかだった雪面もしまり、木々がその影をシャープに落とすようになった。











まだまだ知らない事ばかりの、この村の四季折々の姿も少しずつ撮りためたいな、と思った。
自分だから切り出せる景色があるだろう、それはきっと、研究も写真もおなじ。

明日から1週間ほど極東ロシア•アムール州へいってきます。
永久凍土の南限域。北海道に似て針葉樹と広葉樹が混じった森が広がっているけど、雪の積もり方も土の凍り方も全然違う。

冬に行くのは初めてなので楽しみ。
うまく今後のプロジェクトへつなげることができるよう、色々見てきます。
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凍った天塩川でワカサギ釣り

しばらく研究と山のことばかりだったので、たまには下界っぽいことを。

北海道に限らず寒い地域では、冬になるとあちこちでワカサギ釣りが行われます。
しかし、その多くは湖や池、沼などでではないでしょうか?

ところがここ道北では!なんと凍った天塩川で天然もののワカサギが釣れます。

先日、もはやほぼプロ化している同僚に連れて行ってもらいました。



そりで道具を運びます。日本じゃないみたーい、とはしゃいでみる。



凍った天塩川の上をあるいて今日の釣り場へ。


こちら、我らのベースキャンプ。なんと立派な!と思うあなた、甘いです....


↑強者は、煙突付きの小屋を建てて中で釣っています。透明な壁越しにはストーブもみえるし、住めますね。
家に居場所の無いお父さんが逃げ込むにはぴったりです。


先ずは穴をあけて...



釣り糸をたらします。

¥

でかい!コントロールとして普通のワカサギが無いのが残念...
チカか?と思うくらいでかい。

この日の我が家の釣果は101匹でした。お裾分けもできるくらい。



時々、こんなのが連れたりも。



遠く、利尻山も望めました。

釣った魚達は、



ワカサギは天ぷらに加えて刺身にもしてみました。
脂のっててウマーッ

感動ものでした。



骨も揚げてポリポリいただきました。



カワガレイも湯引きにしていただきました。

ビバ 天塩川。
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中川研究林•利用者セミナー

去る3/25-26に中川研究林の利用者セミナーを開催しました。

同じフィールドに、学生として、研究者として、また、管理者として携わっている多くの人たち。
しかし、テーマや研究対象、そして立場が違えばなかなかお互いに会って、ましてや研究の話をする機会はそう多くありません。

そこでこの利用者セミナー。このセミナーは、毎年度、当林を利用して研究をされた方々にその成果を報告していただくものです。



セミナーでは、樹木や植食性昆虫、エゾシカ、鳥類、ミミズのことに加えて、水やコハクのことまで(!)中川研究林を舞台に様々な生物/非生物を対象にしている研究を発表していただきました。
特に、普段はなかなか聞く機会のない"コハク"を対象にした古生物学に関するお話は、これまでとはちがった長期的な時間スケールのなかでの中川研究林というフィールドの面白さを教えてくてました。

夜は、中川町で穫れたエゾシカを肴に、前日に詰めてもらったばかりの「オホーツクビール(ヴァイツェン&エール)」、愛知から取り寄せた「醸し人九平次(日本酒)」、こないだイタリアで買ってきたワイン等々で懇親会。ちょっと気合い入れすぎましたが....

2日目の発表後には、エクスカージョンとして未だ雪の深い林内へ。

エゾマツの天然木の樹齢や価格当てクイズをしながら伐採現場を見学したり、切り出された丸太をトビやガンタという道具を使って集材する体験をしてもらいました。



また来年もお待ちしています。
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第2次パウダーツアー in 十勝

口に出しては言いたくないものの....やっぱりくそ忙しかった2月...。

でも、仕事の無い週末をやりくりして、しぶとくスキーツアーに行っていました。

今回は横浜から来てくれた攀じ攀じ夫妻と白銀荘をベースキャンプにして富良野岳&前十勝岳へ。

結論からいうと.........今季最高のパウダーに当たりました。

1日目は初めての前十勝岳。

カバワラ尾根というダケカンバの枯れ木が目立つ尾根を登り、正面スロープを何本か滑りました。



斜面の上についてドロップインすると視界が出だすという奇跡続き!




Skier: 攀じ子さん




Skier: あご



富良野盆地へDrop-in! Boarder: 攀じ旦那さん



雪質最高で、つい「フォー!フォー!」と奇声を発しながら滑ってしまいましたが....
後々、自分がすべっている時の動画をみて愕然。

滑っている間は「俺って、ちょっと上手くなったかも?」と思っていましたが.....滑りやすいフカフカ雪=勘違い雪でした。

こんな滑りで叫びながら滑るとか恥ずかしいw

夜は春からボストンへ研究のために移住するキチさん夫妻も合流し、久しぶりにしっぽり飲みました(消灯があるので10時までですが←健康的!)

2日目は富良野岳のジャイアントスロープへ。



駐車場で身支度をし、ジャイアント尾根を登ります。



快調に高度が上がって、木もまばらに生えている優秀なジャイアント尾根。



今日も眼下には富良野盆地が見えます。



で、北尾根とジャイアント尾根の間にある "ジャイアントスロープ"にドロップイン。
Skier: あご






Boarder: 攀じ旦那さん

ニヤケが止まらないー。最高の雪だったので3本も滑っちゃいました。
満喫の日でした。

来年はどこに行きましょうね?

3月は殆ど北海道(というか日本)にいなさそうなので、これで滑り納めかなー。
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北海道北部を拠点に森林の研究をしている小林真があちこち歩き回って考えたこと・見たものを紹介するページです。 Keyword: 樹、土、ミミズ、北方林、ツンドラ、バオバブ、登山
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