ふるさと


と呼べる場所があるのは嬉しいもの。

秋晴れの土曜日。


いつものとおり、シベリアの上を通過して、成田へ。

空港をでて始めておもった。

「日本あかるっ!」

家への帰りがけ、高校時代に大好きだった春日部のみはまやで特盛ラーメン。


我が家の畑のはじっこに柿の木があって、
その柿が今年はうまい。



我が家のお墓があるお寺の木。
小さい頃、おっきいなーと思った木。
木って、ふしぎだなーと、はじめておもった木。


ミミズをとってフナを釣って、
ザリガニつりをして
大雨の日には腰までつかりながらドブ川をわたって学校に行って
変な人に追いかけられて
クワガタを大量捕獲しては、河を渡った隣町の駄菓子屋に売りに行って。

缶けりして、
田んぼにおとされて、
みちばたに落ちてるエロ本みつけて
けーどろしたり
木の上に基地をつくって
さつまいもを、もみ殻のなかにうめて焼いた。



今思えば1-2kmしほうの小っさな風景のなかに
すーっかり、忘れていたものの多さ。
でも、思い出すことのあることのうれしさ。

高校にはいったころから、だいぶあちこち動いてたけど
ここで育てられたんだな―としんそこ思う。

昔、立ちこぎでも急でしんどかった坂は、ちょっとゆるくなっていて。


ひたすら走った校庭。


たこ、茶碗蒸し、ソースやきそば、柿、あおやぎ、さざえ、さんま、
ビエンロー(あごと山に行ったら必ず食わされるなべ料理)e.t.c.

うまい飯っていうのは世界中にあるけど
我が家の飯は我が家でしか食えない。

そして、米。

ちょっと油断してた。
ふだん、アビスコでかえるイタリア米に満足してたから「おれは絶対にビビらない」と
おもってた。

でも新米の力はすごい。ばびる。


朝、小さな旅を見る。


情熱大陸をリアルタイムでみながら
かーちゃんと、するめをしゃぶりながら一杯やる。

白菜がでかい。
そして、やわこくてうまい。甘い。

ごぼうを食べたら、屁がとまらなくなった。

そんな1日。

こんなちっこい町だけど、タイラー、ケイティー、アン、エレン、トーマス夫妻、
エリック、アニカ、レイナー、みんなみんな連れてきたいな。

明日は横浜に移動。
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帰国

 
今朝、一本、論文のReviseを返しました。
やるだけやった。さてどうなるか。

そして今から電車にのってUmeaまで行き、
明朝、Umeaから飛行機に乗って、26日朝に成田に着きます。

26日〜12月1日まで、ちょっと実家に寄った後、東京・横浜方面で仕事です。
日本食、めっちゃ楽しみです。タコタコタコタコタコタコ!タコっ!

ちょっと悲しいのは、タイミング悪く
慌ただしく日本に滞在中に30歳になってしまうこと。

将来「おれ、北極圏で30歳になったんだぜ〜」と自慢したかったのに…
とこっちのみんなに言ったら、帰ってきたらParty、こっちでやろう、と。

その後は、Umeaに一度帰り、
翌翌日から地球を逆回りしてSan FransiscoでAGUに参加します。

毎度のことながら、このちょっとナンセンスな飛び方、何とかならないだろうか…。

発表タイトル:
Makoto, K. & Klaminder J. Rates of plant succession, carbon and nitrogen accumulation in small-scale tundra chronosequences; an implication for climate change.

最近、新しくみつけた年代の異なる54の(ミニ)生態系を調べて
数百年間という長期スパンでの土壌や植生への炭素蓄積速度を推定しました。

近くのサイトで短期的に観測したもの(フラックス観測)や
他のツンドラの時系列系で推定したものと比較し、
このシステムを使用することの妥当性・有効性を検討します。


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停電

 

がちゃこんっ!


ひゅ-るるるるる.....



午後3時半、そんなちょっと切ない音とともに
突然、停電しました。ま、突然じゃなぃ停電なんてあまり聞きませんが。

はじめは研究所だけかと思っていたら、村の方の明かりも見えない。

10km先にあるBjorklidenという隣村の明かりは空に反射してみえるので
停電しているのはアビスコだけのようだ。

雷が落ちるような天気でもないし、きっとまた、アンダーパスを工事している連中が、
電気系統を切ってしまったんだろう。

つい先週も水道管をショベルカーか何かで壊したらしく
突然、水道が3時間止まった。



.....さて、停電。





暗いわな。


建物の中も、暗いわな。


ただ、僕たち/私たち、暗いのには最近めっきり慣れっこな訳で、
みんな、ヘッドランプを持っているのです。



じゃないと、暗くて帰れないから、家に。



人生に余裕のある方たちは、


『もう、やる気なくなっちゃったから、かーえろっ』


と引き上げて行きますが、若い衆はそうはいきません。



人生、一寸先は闇。



幸いLet's noteは4-5時間はバッテリーだけで動くので、
ヘッドランプとキャンドルも使って、ぽちぽち仕事を進めます。
ま、画面が光ってるんで見えるんですが。





PCが使えないエリック君は、
いつもより真剣そーに論文を読みいっています。





あまりの真剣さに、心なしか、論文が光ってさえ見えます。




『ヒーターのつかない日に限って、外はめっちゃ寒くなりやがる…』



4時間たってようやく、村に電気が戻って来ました。
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明るい朝

 
ある朝、ふと目を覚ますと外が明るくなっていることに気づく。

「寝坊した!」とあわてて携帯を見ると、まだ7時。
起きだして外をみると、村一面に雪が積もっていた。

雪があると、わずかな光を反射するので景色が明るくなる。
暗くなっていく一方のはずの景色に、手品がかけられたようにさえ思う。

新しく入ったスーパーのレジのおばちゃんと仲良くなった。

最近は支払いをする時に「これをこうやって調理すると〜ができるのよ〜」
と、買ったものを使った簡単レシピを教えてくれる。

この村には、3種類の人間がいると思う。

ずっとここに住んでいて、シンプルに生きている人
ここに、少しの間だけやってきて、そこに満足してシンプルに生きている人、
やってきたけど多くを求めるので、不自由さばかりに目がいってしまう人。

人のことをどうこう言う必要は無いんだけど、
3番目の人は見ていてとてもかわいそうだし、少し醜く映ってしまう。
でも、その気持ちもわかる。シンプルでいるだけが、いいというわけでもないと思う。
少なくとも、僕は、色々な場所に行ってみたいし、やってみたいこともある。

やりたいことは沢山ある。

でもできるだけシンプルに生きたい。

自分の中でバランスのとれる点はどのあたりなのだろうか?

1年と半年、この小さな村で生活しながら、
少しずつだけど、その位置が感覚的に解ってきた気がする。


アビスコの全景。
雪が降る前日、昼休みに近くStornabbenというの丘に登った。

月末に帰国してするプレゼンの土台がようやく完成。
あとは、これを軸に、ちょこちょこ直しを入れていく。

金曜日、こっちの仕事の論文第2段を、最後まで書ききった。

はじめてIntroductionも、Discussionも
インパクトの高いところを「ねらって」書いてみた。

言い訳なしの真っ向勝負。
ちょっと緊張。だけど、負けてなんぼ。
何でもトライしなきゃ先に進めない。

さっそく、共著の人や友人たちに赤を入れてもらって、
年内に投稿まで持っていければ。
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Stetind

 
暗いし新しいネタもないので、防備録てきにアップし忘れていた山の記録。

ドイツから帰ってきてすぐに、同僚たちとNorwey北部にあるStetind(すててぃんど)という山に行った。ここはノルウェー北部の代表的な岩山でいくつも登攀ルートが開かれている。



↑右のリッジをトライ。

エリックとエバ、ヘンドリックはノーマルルートから、僕とルミラは一番簡単な登攀ルートからトライしたけど、核心部のスラブがこおちゃったりしていて、あえなく敗退。

でも一日中天気がよく、ロフォーテン諸島に落ちる夕陽を山の上から見るのは格別だった。

Narvikの南・50km程の場所にあるEFJORD(えーふぃよるど)周辺には、Stetind以外にもEidetnd, Presttindなど、数百メートルスケールで花崗岩のクライミングが楽しめる山がいくつもある。



↑PresttingのWest Face

いつか、のんびり山のふもとにベースキャンプをしいて、
日がなあちこち登りに来たいなー、と思った。


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北海道の森林−コラム

 
北方森林学会の60周年を記念して「北海道の森林」という本が出版されます。


すがすがしいブナ林の写真で始まる本の中では、森の中でみられる様々な不思議や、森が果たしている役割、そして、近年問題になっている事まで幅広いトピックを、それぞれの専門家たちが一般の方たちに解りやすく説明しています(はずです…まだ、手元にないので…)。

私は、炭と樹木をもちいた緑化について短いコラムを書かせていただきました。

11月16日から店頭にも並ぶようなので、身近な森でおこっている環境問題に興味がある方、山歩きが好きで森に入った時にもうちょっと色々わかったら面白いだろうな−と思っている方など、ぜひ、お手にとってみてください。

オンライン購入も可能なようです。
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11月のどまんなかー

 
今年のアビスコは暖かく、未だにまともに雪が積もっていない。
ここでは、11月は1年でもっとも中途半端な月。

暗いくせにクリスマスは無い。
寒いくせに、スキーもできない。
でも池も凍っていないのでスケートもできないし、かといって釣りをするには寒すぎる。

そんな11月、研究所は静かになる。


9月から2カ月間(!)合宿状態で続いていた実習も終わり、学生たちは自分の国に帰った。
研究者達もみんなくらーい日々から逃れようと、やれシチリアだサルディ−ニャだと南に長期休暇に行ってしまって、残っているのはたった数人。

先週末まで残ってたアンも、博士の審査のためSvalbardへ(逆方向だし…)。

「いいな〜、俺もいってみたい〜」と軽い気持ちで言ったら
「北緯78°、真っ暗なだけよ。審査会の後のPartyと免税地域だから買い物が楽しみ」と。

……いくなら夏だな、夏。

Svalbardで買い物ってイメージできないけど、
アビスコやキルナよりは断然でかい街・店があるらしい。

ここアビスコも着々と暗くなってきています。
どれくらいかというと、昼の2時になるとこんなふうになる↓

村のメインストリート

そんな日々、最近ハマっているのは「南極大陸」。北極圏で見るのもなかなかおつ。

視聴率は下がっているようだけど、影響されやすい自分なので
色々考えさせられながら楽しんでみてる。

身の回りにあることから一般則をみつける醍醐味もあるけれど、
新しい場所や研究対象で研究するからこそ、少し考えの及ばない、
簡単には説明できない飛躍した事象がみつかるっていう事もある。
自然科学者たちが知りたい答えは、人間たちの頭の中で組み立てられていくのではなく、
世界に様々な形ですでにあるものなのだから。

身の回りの自然に関する研究と、極地での研究。その2つをバランスよくやっていきたいし、そのためにもこれからの数年で新しい自分のStand pointを確立して、炭や山火事のない場所できっちり論文書けるようにならなくちゃなと思う。

あとは「私が恋愛できない理由」
大島優子、かわいい。

少し前に豆腐が手に入ったので、ご近所さんを呼んで豆腐Partyをした。
揚げだし豆腐、湯豆腐、豆腐サラダ、茶碗蒸し(とうふ関係なし)

残った豆腐は、翌週にマーボ丼。

寮で共同生活をしていたころは、作ると手抜きだと言われていたメニューも
ここでは、貴重なもんで。


さてさて、静かになったところでお気に入りの図書室を独り占めして論文直したり、
論文書いたり、やっぱりだめだった論文を再投稿したり。

ReviseでReviewerに求められていた実験も、
色々な方々に助けて頂き、何とかなりそう…。

この仕事は、本っ当ーにたくさんの人たちにお世話になったので、
このチャンスでがっちりモノにしたい…。
じゃなきゃ、仁義きれねー。

とそんな、11月のどまんなか。

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クリスマスに向けて

 
まだ一カ月もあると言うのにクリスマスに向けて
お店の品ぞろえも変わったりしております。

ここでも…。


まあ、クリスマスだし、いるわな、建物の中にも。

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冬じかん

 
Summer Timeが終わって一週間たっていたのに、気づいていなかった。

携帯もパソコンも、夜の12時に自動的にずらしてくれるし、
自動では補正されない時計も、普段あまり使っていないので全然気づかなかった。
「まったく、最近の若いものは…」とトーマスはいう。

昨日は、アビスコで太陽が見れる今年最後の日だった。

悪天が続いていたけれど、この日はしばらくぶりに晴れて
チョモス山のわきにある丘あたりで無事に最後の太陽をみることができた。

また、1月30日に会いましょう。


正確にはまだ地平線より上にはあるけど、この村は山で囲まれちゃっているため、
太陽の見えない「極夜」がすこし早くやってくる。

でも、地元の人たちは最後の太陽Dayはあまり気にかけていない。

「今日、太陽見れるの最後だねー」と言っても、
「そういえばそうねー」と気のない返事。

はじめて太陽が顔を出す日には、みんなで近くの山まで出かけて行ってお祝いもすると言うのに。最後の日、なんてそんなもんだろうか。

************************************************************

「永久凍土」よく聞くこの言葉は、2年以上、凍ったままの土壌を指す。

シベリアなどは永久凍土が広がるエリアのど真ん中にるため、
土を数m掘ればたいがいの所でかちこちの凍土にぶち当たる。

ここアビスコではぽつぽつ分点在するだけ。

でも、永久凍土のある場所には「パルサ」と呼ばれる丘状に少し盛り上がった地形ができて、その上に沼地の湿原植生が広がっているので、
掘らなくてもどこに永久凍土があるのか解る。

水曜日、来年からはじめる温暖化実験の下見も兼ねて、
エレンとトーマスについてパルサへ行ってきた。


このパルサにはスノーフェンス(↑オレンジ色のやつ)といって、局所的に風の強さを和らげて雪がたまりやすくするための仕掛けが設置してある。冬に設置しておくと、風下側に雪がたまる仕組みになっている。

IPCC(気候変動にかんする政府間パネル)によると、スカンジナビア北部では近い将来、気温と積雪量が増加する。その影響を調べるために、実験的に積雪量を増やしてやってその影響を見ているのだ。

直接的な温度の上昇だけではなく、積雪量の増加も、土壌にとっては温暖化につながる。
雪は、断熱効果が高く、充分な厚さ積もると外気がマイナス30-35℃になっても、
土壌をマイナス2-3℃に保つことができるのだ。

もう5年も設置してある風下側では、冬の間に雪がたまって外気から土壌への断熱作用が増えるため凍土がとけ、所によっては溶けた水で小さな池のようになってしまっている。

そこまでいかなくても、植生や土壌は色々な影響を受ける。

実際に凍土の表面にあたるまでの深さ(活動層とよばれる夏の間はとける土壌の厚さ)を測ってみると(↓)、雪がたまっていないところの方が、凍土にすぐにあたる(約60-70cm)。


温暖化実験といっても方法は色々あるもんだ。
電熱線を使ったり、ビニールハウスの要領でガラスでかこったり、
冬に絞ってスノーフェンスを設置したり、はたまた人力で雪を局所的にためたり。

さて、どれが一番、余計な影響を与えないで、かつコストパフォーマンスよくできるか。

鮮やかさもなくなって、雪が積もっていない中途半端な時期の地面も、
よく見てみるとなかなか見ごたえがある。




最近、パソコンの前ばかりだったので、
久しぶりに外に出て、目も頭もリフレッシュできた。
Posted by makocchi-1129comments(0)|-

新鮮な野菜

 
こないだ、キルナ(アビスコよりも大分おおきい街)で買い物をしていて気付いたこと。

アビスコでは売られてる野菜が古い古いと文句を言っていたけれど、
アビスコでもキルナに負けないくらい新鮮な野菜が売られていた。

アボガド。
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北海道北部を拠点に森林の研究をしている小林真があちこち歩き回って考えたこと・見たものを紹介するページです。 Keyword: 樹、土、ミミズ、北方林、ツンドラ、バオバブ、登山
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