研究所からの帰り道、妙に静かに感じる今日のアビスコ。
そもそもそんなにうるさい場所ではないんだけれど、それにしても妙に静かな気がする。
いつもなら時々耳に入る車の音が全くしないけど、それだけが理由だろうか。
今日の月はほぼ満ちていて、ヘッドランプ無しでも ばっちり歩ける。
あと1週間程で ここにも太陽が戻ってくる。
正確には、もう、水平線の上に太陽がでている時間があるんだけれど、
村の周辺の山が邪魔して隠れている。
でも、日に日に 昼間の空がすっきりとした青い色に近くなっていくのを見ると、
まだ1月中旬 冬真っ只中だというのに、その先には春がちゃんと待っているのを実感する。
さて、ここの話に戻ってしまう前に、イタリアからの帰り道のことを少し。
一人、深夜フェリーでパレルモを離れ、ローマをさくっと経由して(コロッセオを外から眺めて、パスタを食った)向かったのは、部活の先輩・OKAさんFamilyの住むドイツのハレ(Halle)。
ハレはベルリンとライプツィヒの間にある町。
OKAさんからは 『ちっちゃい街やでー』 と事前に聞いていたのだが、
どうしてどうして、全く『小さく』などない。
もっとも、比べる相手が自分の住んでいる所では、
『ちっちゃいっすねー』 と言える場所を探すのは一苦労なのだが・・・。
滞在中は、旧東ドイツの、少し物寂しい面影が残る景色を見ながらザーレ川の辺を散歩したり、
OKAさんの働いているまっくす・ぷらんく研究所を見学させていただいたり。
北極圏で はすれ違いになってしまったゆーやさんとも、
お互い何千kmかの旅を終えたあと、何とか無事に再会することができ、
自分不在のアビスコでの思い出などを聞いたりする。
↑ 未来を舞台にした映画にでてきそうな装置とゆーやさん(似合わない)
無事に立派なオーロラも見えたり、お世話になっているおばちゃんとさりげなく仲良くなっていたりで、充実の日々だった様子。
ボツボツ、あちこち見てまわりながら、色々な話をする。
OKAさんは、地元の100kmマラソンで2連覇しちゃったりして、その新聞の切抜きを見せてくれたり、研究内容が紹介されたポスターを前に、本来ならばわかりにくいであろう物理の話をわかりやすく説明してくれながら 『この仕事、去年 さいえんす に載ったねんなー』とさらり・・・。
・・・伸びたあごが戻らない。
UKに留学中のゆーやさんも、今考えていること協力隊でマラウィでやってきた仕事とか、
やっぱりすごい。
その風貌からか相変らずのカオス感たっぷりの雰囲気の中でも伝わってくる確かな凄みは、
考えていること(問題意識なのか)の的確さと、それをわかりやすい言葉にできる力、
そしてそれらと模索しながら向き合ってきた行動力(全部足すと『勢い』となる)
からきてるんだと思う。
↑Halleはヘンデルが生まれた街らしい。全然似てないゆーやさん(要・カツラ)。
自分が大学に入りたての頃、OBの1年目と2年目だったこの2人を見て、
『俺もでっかい男になりたい!』とか、いかにも若者って感じの漠然とした思いを持ったりしたわけだ。
で、自分もそれなりに人生経験を踏んで、最近、どっちが右で左かくらいはわかるようになって、
『昔、漠然としたから余計に距離感を感じていただけで、自分と2人の距離は
せいぜい42.195kmくらい(=同じ年になったらそこに行ける位)しか離れていないじゃないか?』
とか、調子にのって思っていた。
けど、会ってじっくり話してみたら、改めて、自分との離れっぷりにびびった。
今更ながら、10年前と同じことを思いました。
でも、今は、あの頃とは違って、そのためにやるべきことが、
少しだけ具体的にわかっている気がする。
↑ Halleの激ウマ地ビール。あごの分だけ、ちょっと勝ってる(←何が?)
ワンゲルUK支部。
次世代。
再会を誓ってスウェーデンへ。
スウェーデンでは、ボスとの打ち合わせと、
学部時代からの腐れ縁・・・ならぬお世話になり続けている先輩が日本へ帰国されるとのことで、
ご挨拶をしにひとまずウメオへ。
ストックホルムからウメオへの道中では、電車が5時間遅れるなど色々あったが、
まあ、さすがにこの遅れまくる列車事情にもそろそろ慣れてきたというか、
そのお陰で、スウェーデンで家具職人をしているという同世代の日本人と知り合うこともできたりで、結果オーライ。
ボローニアからきている旅行者の2人と話していて、
『スパゲッティー・ボロネーゼは世界中にあるけど、ボローニアにはそんなものない』
という驚愕の事実をも知ることができた。
ウメオに到着して、まずは休暇中、細かいところをチェックしていたアラスカ論文第一弾を投稿。
仕事始めは論文投稿で!と決めていたので一段落。
(単に前年から仕事がずれ込んでいただけとも言う・・・)
それから2−3日、ボス・ヨナタンと、新しくチームに加わったマリナと
この夏−秋にかけて取って一通り解析の終わったアビスコデータを
どう振り分けて論文にしていくか打ち合わせ。
今から2ヶ月で手分けして何とか2本、形にしようねということに。よーいどん。
そしてウメオ最終夜。
いつものごとく(?)ダーイシさん家にお邪魔し、タカタさん追いコンに参加させていただく。
なぜか居心地のよいダーイシ家は、そんなに何度もお邪魔しているわけではないのに
なぜか 『帰ってきたなー』 と感じてしまう。すみません・・・。
美味しい料理をいただきながら色々話していると、酒がつい進んで・・・。
シチリアでも、その帰り道でも、かっちょいい日本人と沢山再会 or 会うことができ、
刺激をたくさん貰って、志を新たに北極圏に帰ってきたのでした。
みんな、それぞれの場所、それぞれの人生の局面で思いっきり生きてる。
そんな人に こうやって刺激を貰いながら生きていく事こそ、人生の醍醐味だなーなどと、
2日酔いのまま揺られるアビスコ行きの電車で、つくづく思うのでした。うげー。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。