アラスカから帰ってきて、一週間。
あっという間のようで、色々なことがあった一週間。
まず、なんといっても、生まれてはじめてオーロラを見た。
はじめてのオーロラは、ぼやっとしていて、
白くて、雲と見分けがつかなかった。
ちょうどその夜、日本から来ていた森林研究者兼クライマーご夫妻と一緒に飲んでいて、
その合間に、外に出て『あれが、オーロラだよ』と教えていただいた。
そういえば何年か前、美瑛に住んでいるワンゲルの先輩が
『アラスカで秋に見えるオーロラは白いんだって』
と言っていたのを思い出す。
奥様は名うての雨女らしいが、滞在中は"奇跡的"に天気に恵まれ、
気持ちのよい秋晴れの中、
Abisko周辺の森やツンドラを見て回ることができた。
日本にいたときに "ツンドラの秋" といわれて想像したのは、
一面赤い絨毯が広がっているけど、なんだか景色すべてが灰色がかっていて、
壮大だけど、少し、もの寂しい雰囲気の場所だった。
だけど実際は、足を置く場所も、見下ろす大地も、うきうきするぐらい色鮮やか。
赤く染まるウラシマツツジやヒメカンバの絨毯の上に
淡い黄色やところどころ白っぽくなったヤナギの葉がアクセントになって、
大げさではなく、花畑かと思うほどだ。
- 研究編−
仕事もぼちぼち忙しめの一週間。
10月にこれまでとは違うプロジェクトで極東ロシアに行くことになり、その準備に追われつつ、
返ってきた論文の修正、フィールド調査の締め、
冬の間、研究所の温室で始める実験の立ち上げ。。
しかもこの短期間に、面白いセミナーを2つ聞くことができた。
ここAbiskoには、世界中から植物生態学者が調査などのためにやってくる。
先週は、幸運にもちょうど調査や実習のために来ていたビックな2人がセミナーをしてくれた。
1人目はオランダからきたDr. Hans Cornelissen。
2人目は、ウメオのDr. David Wardle。
2人とも植物・森林生態学の分野で論文の生産力が高く、かつCreativeな研究をしている方で
話のキーワードは共に植物のFunctional Traits。
これまで、ざっくり言ってしまえばに 『種の数』 を指標として 『多様性』 を数字にして、
炭素蓄積量など生態系内のプロセスと関係をみようという研究が多くなされてきた(と思う)。
一方で、単純な、種の数を単位とした多様性ではなく、
ある形質の機能的な特徴が似た種を1グループにして(例えば光合成速度、葉の厚さだとか分解のされやすさ、成分など)、そのグループの多様性といろいろなものの関係を評価する動きがある。
いろいろな生態系の機能との関係性を見たときに、
種を単位とした多様性よりもこの機能面での特徴(Functional Trait)がにたグループを単位とした多様性のほうが、いろいろ説明がつきやすいことがあるとという研究例を色々紹介してくれた。
さて、Functional Traitという枠を、自分の研究にも取り入れるべきか。
ただ、どうせ手を出すなら、
トピックとして、流行っているからとりあえず計ってパラメータとするのではなく、
Functional Traitという 『くくり』 ・ 『わく』 を作ることではじめて見えてくるもの、
新たにでてくる検討すべきことをやるべきだと思う。
流行のキーワード同士をくっつけて、
やったら面白そうなことは、言葉遊びのようにいくらでも浮かぶ。
でも、それじゃただ、目の前にぶら下がったキャッチーな面白そうなテーマにつられて
脱線して行っているだけな気がする。
そういうのに手を出して、論文にしていくのも正直大事なんだろうけど、
今、自分が考えるべきは、
そういった知見を、どうやったら応用研究につなげることができるか…ということ。
いろんなことを、あーでもないこうでもないと妄想したり議論するのは面白いけど
それだけじゃなくって、
どこか応用的な場所に着地点・落としどころ見すえながら、手をつけたい。
ヤジロベーみたいに上手くバランスとりたいなー。
さてさて。
さてさて。
さてさてー。
2人とは朝のコーヒータイムやフィールドでも色々話すことができてとっても勉強になった。
気さくだし、ああいう雰囲気の研究者になりたいなーと思う。
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ここ数日の間でも、季節は進み
我が家のベランダからでも、緑色のオーロラも見えるようになった。
今日はカーテンのように動くのもはっきりと見ることができた。
近々、オーロラの写真でものっけます。
オーロラを見ながら一杯やりたい方は、是非、お酒持参で北極圏のあご家までお越しください。